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イベントレポート:つなげよう、ごみを生まない『知恵』#1

  • 執筆者の写真: kurunkyoto
    kurunkyoto
  • 2 日前
  • 読了時間: 6分

更新日:18 時間前

包装されていない野菜を選ぶ。マイ容器で買い物に行く。使い捨てプラスチックはできるだけ使わない。そんな暮らしを実践す生活者がいる一方で、野菜を包装せずに売ったり、リユース容器を取り入れたりして、ごみを減らそうとする売り手や作り手もいます。こうした人たちは、日々どんな試行錯誤を重ね、どんな壁にぶつかっているのでしょうか。 


2025年2月22日に行なったイベント「つなげよう、ごみを生まない『知恵』」では、異なる立場の登壇者、会場に集まった参加者が、ごみを生まないための実例と知恵を持ち寄り、語り合いました。


<ごみを生まない>業界のトップランナーである「株式会社斗々屋」の代表をお招きし、京都市の協力のもと開催してきた同形式のイベントは、今回で3回目。  

2023年の第1回「はじめよう、ごみを生まない『小売』」、2024年の第2回「みんなでつくる、ごみを生まない『小売』」では、それぞれ小売の現場でできること、生産・流通・消費の接点にあるヒントを話し合ってきました。


そして今回のテーマは「つなげる」こと。  

生活者・事業者・行政。それぞれがもつ知恵を、立場を超えて共有し、次へとつなげていくための時間となりました。


「地球1個分の暮らし」を実現するために

斗々屋京都本店の黒板に描かれたイラスト
斗々屋京都本店の黒板に描かれたイラスト

まず登壇されたのは、株式会社斗々屋代表の梅田さん。

斗々屋を知る人なら真っ先に思い浮かぶのは、開店と同時に全国に知られることになった、ゼロウェイストスーパーマーケット斗々屋京都本店ではないでしょうか。


こちらのお店の秘密は過去のイベントレポートでも詳しく扱っているので、ここでは、当日のお話のダイジェストをお届けます。


「斗々屋の最終目標は、『地球1個分の暮らしに戻していこう』という自社の理念を実現すること」と梅田さん。現在の日本人の暮らし方は、地球2.8個分の資源を使っていると言われていて、それを地球1個分に戻すには、日々の暮らしの中から資源の無駄遣いを減らしていくことがとても大切なのだと言います。


そのために斗々屋が掲げているコンセプトは、広く「ごみを出さないこと(ゼロウェイスト)」「食品ロスを出さないこと」


ゼロウェイストを後押ししてくれる第一歩として、斗々屋をのイメージと強く結びついているのが、「量り売り」という売り方。斗々屋では、持参したマイ容器や、店で貸し出しているリユース容器(デポジット容器)を使って、好きな商品を自分の好きな量だけ購入するのが、基本のお買い物スタイルになっています。


こうしたお買い物を実際に体験すると気づくのが、使い捨てパッケージを用いないお買い物では、ごみが一切出ない快適さを味わえるということ。デポジット容器はレンタル代がかかりますが、返却時に全額戻ってくるため、実質の容器代も無料。また、斗々屋では、できるだけ今の便利な生活スタイルを崩さずに、自然とゼロウェイストな買い物ができるように、最新のテクノロジーも取り入れています。

仕入れや買い物には、さまざまな入れ物が活用できる
仕入れや買い物には、さまざまな入れ物が活用できる

もちろん、ごみを出さないための工夫は仕入れにも及びます。野菜やその他の多様な商品はどれも、通い箱通い袋で納品してもらうことで、ごみがほとんど出ない店舗運営の仕組みが確立しています。


2つ目のコンセプトである食品ロス削減のための工夫も、やはり仕入れの段階から始まります。農家から優先的に規格外の野菜を仕入れ、無駄なく使う。店頭で販売している野菜は、少し傷んできたらすぐにキッチンに持っていって、お惣菜やレストランメニューに加工する。余りそうなものは、発酵食品やレトルト食品に展開したり、瓶で真空パックにして保存する。あらゆる工夫をすることで、開店以来、食品ロスはほとんど出さずに運営できているそうです。


ごみの量と行方を知る

こうした工夫の結果、斗々屋から出るごみは、古紙回収に出せないような汚れた新聞紙や、レシート、レジのシールなどが中心。生ごみ(野菜の食べられない部分や、卵の殻など)は提携の農家さんに週1回回収してもらい、堆肥になります。


ある時期の斗々屋京都本店のごみの量
ある時期の斗々屋京都本店のごみの量

努力の甲斐あって、オープン以来計り続けているごみの量は、「一般家庭のごみより少ないんじゃないかな?」というくらいの量なんだとか。

実際のごみ量の推移は、過去のレポートに詳細を掲載していますので、ぜひご覧になってくださいね。


また斗々屋は、社会の中で出たごみの再資源化にも積極的に取り組んでいます。たとえばコーヒー豆のかすは、京都でコーヒーかす回収の活動をしている「mame-ecoに引き取りを依頼。お客さんが持ち込んだものも含めて、循環の輪のなかに還しています。


それ以外にも、牛乳パック、テトラパック、コンタクトレンズのパッケージなどを回収。これまで捨てていたものも、お買い物ついでに、ぜひ斗々屋に持っていってみてください。


「やってみたら、意外とうまくいく」斗々屋の実践知


梅田さんのお話から感じるのは、斗々屋は今が完成形ではなく、常に進化の途上にあるのだということ。


たとえば、2023年から始めた賞味期限切れ商品の販売。当初は「本当に大丈夫なの?」「取引先からクレームが来ない?」という心配の声もあったそうですが、いざやってみたら店頭では大好評。現在までの2年間で、クレームは一度も来ておらず、「むしろすごくよく売れてます」と梅田さん。日本ではまだまだ見かけることの少ない取り組みですが、「皆さんもちょっとずつでも挑戦してみたらいいんじゃないかと思ってます」と力を込めました。

すぐに棚が空になってしまうくらい大好評な、賞味期限切れ商品の販売
すぐに棚が空になってしまうくらい大好評な、賞味期限切れ商品の販売

そして、近年すっかり定着した感のあるUberEATS。便利だけど、すごく多くのごみが出る……という問題を解決すべく、斗々屋は「ごみの出ないUberEATS」を展開しています。


具体的にどうしているかというと、プラスチックフリーの使い捨て容器とデポジット容器、どちらがいいかをお客さんが選べるというもの。UberEATSの利用者は店舗から2〜3km圏内に住んでいることが多いため、100円のデポジットが返ってくるということにメリットを感じて利用者する人も増えているんだとか。梅田さん曰く「月に一度くらいまとめて容器を返しに来てくださる方もいらっしゃいます」とのこと。配達に使う紙袋も、お客様から寄付してもらったリユース品で、おしゃれなものが多く集まるため、そこも意外と喜ばれるポイントなんだとか。


そして2024年からは、デポジット容器入りの離乳食「はらぺこベイビー」シリーズの販売をスタート。さらには、コロナ禍以降お休みしていたディナータイムの営業も再開しました。「もう本当に新しい取り組みが次から次へとあって、大変なんですけど楽しくもあります」と語る梅田さんは、エネルギーにあふれた笑顔を見せてくれました。


これらについては、昨年のイベントレポートでも触れていますので、参考になさってください。


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