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イベントレポート:つなげよう、ごみを生まない『知恵』#4

  • 執筆者の写真: kurunkyoto
    kurunkyoto
  • 6月30日
  • 読了時間: 5分

更新日:7月1日

梅田さんのお話に続いては、今年のもうひとつの目玉、「リレートーク」のパートに移りました。


これは「いろんな立場の人から、いろんな話を聞いてみたい!」という思いから企画したもの。くるん京都からお願いしてお話ししてくださった方もありますが、Instagramやチラシでの呼びかけに応じて話してくださった方もあります。今回は、以下の5人の方に登壇いただきました。


数字で見る、京都のプラごみのいま

岡本さん(京都市・資源循環推進課)


まず最初に、京都市役所の岡本さんが、市内で出ているプラスチックごみの実態と課題を、詳細なデータを交えて解説してくれました。


京都市で出るごみは大きく「家庭系」と「事業系一般廃棄物」に分かれますが、そのどちらにも、プラスチックは多く含まれています。

プラスチックについて、特に特徴的なのはその“軽さと量”。「重さでは1〜2割でも、容積で言えば3〜5割に及ぶ」のだとか。実際、京都市で出るプラスチックごみの量は、年間約5.72万トン。そのうち資源化(リサイクル)されるのは約1.35万トンで、残りの75%が焼却処理されています

業者収集のプラごみは、そのほとんどが焼却されている
業者収集のプラごみは、そのほとんどが焼却されている

中でも使い捨てプラスチックが多くを占めるのが、サービス業・飲食業・小売業からの事業系ごみ。その量の多さや分別の難しさが、ごみ削減の大きな壁になっているのだそうです。


そうした中でも、ペットボトルは比較的リサイクルが進んでいますが、お菓子の袋やパック類、シートといった軽くてかさばるプラは、いまだ約7割が焼却処理されているのが現状。CO2削減の観点でも、こうしたプラごみをどう減らすかが大きな鍵になっているとのことでした。


そんな話題のなか、興味深かったのは、「制度でごみは減らせる」という話。レジ袋の有料化により、たった数年で市内のレジ袋使用量が劇的に減少した事例からは、市民の行動を後押しする仕組みづくりの重要性が垣間見えました。

レジ袋は0.5万トンから0.12万トンに減少(図中の赤矢印)
レジ袋は0.5万トンから0.12万トンに減少(図中の赤矢印)

ただし、岡本さんからは「京都市ができること、できないことがある」とのお話もありました。たとえば、全国に流通する大手メーカーのパッケージ変更に、一自治体の規制がアプローチするのは限界があります。その一方で、地域の小売店や飲食店など、市が直接働きかけられる場所では、小さな変化を積み重ねていける。


誰にどのような働きかけをしていくのか、その選択が、いままさに議論されています。


Q:ペットボトルは、何にリサイクルされているんですか?

A:京都市で収集しているペットボトルは、ペットtoペットでペットボトルになっています。具体的には、京都市が改修したペットボトルが、ペットボトルを作るための資材になって、それを各メーカーが購入しているので、どこに行っているかというのまではわからないんですけど。


Q:プラスチック類は本当にリサイクルされているのでしょうか?

A:はい、京都市で回収したプラスチックごみは、基本的にきちんとリサイクルに回っています。ただし、汚れているなど、どうしても再資源化できないもの1割ほどありますが、基本はしっかりリサイクルしています。今後も分別を続けてほしいです。


Q:規制の必要性についてどう考えていますか?

A:確かに、規制をかければ一気に進む可能性もありますが、日本では「まず話し合いから始める」という文化が強いと感じます。特に京都市のような観光都市では、あまりに厳しい規制は事業者の活動を阻害してしまう可能性もあります。

今はまず、市民や事業者と一緒に「納得できる形」を探る段階で、規制はその先にある「最終手段」だと考えています。


有機農業とプラ包装のリアル  

鈴木さん(京都オーガニックアクション)

京都オーガニックアクションのHP
京都オーガニックアクションのHP

2人目は、京都オーガニックアクションという活動を通じて、有機農業と地域の流通を支えている鈴木さん。自らも南丹市の農村で暮らす日々のなかで気づいた、都市と農村をつなぐ物流や販売の現場で起きている、プラスチックを取り巻く課題を語ってくれました。


まず最初に紹介されたのは「農業用マルチ」の話。これは、畑の畝に敷く黒や白の薄いビニールのことで、除草や保湿に効果があります。農薬を使わない有機農家だからこそ、野菜を育てる上では重要なアイテムですが、収穫後は剥がして捨てるしかなく、毎シーズンごみが大量に出てしまうのが実情なんだとか。「環境にやさしいはずなのに、多くのプラスチックごみが出てしまう」という葛藤がある。そうした複雑な気持ちが現場から聞こえてくると、鈴木さんは紹介しました。

黒い農業用マルチをかけられた作付け前のサツマイモ畑 ©KATORISI
黒い農業用マルチをかけられた作付け前のサツマイモ畑 ©KATORISI

もう一つの課題は、野菜を出荷する際のプラ包装。農家の出荷作業は、手間を省くために個包装込みので流れ作業が組まれていることが多く、「プラスチックに包まない」ことがイレギュラー対応になってしまう。そのため、対応できる農家ばかりではないのだそうです。


たとえば、斗々屋さんとのやり取りでは、すべての野菜を梱包なしで納品してもらいたいという斗々屋さんの意向を、一軒一軒の農家に丁寧に伝える調整が求められました。


「斗々屋さんは、コンテナにそのまま入れてくれたらいいよ、みたいな感じで言わはるので、対応できる農家さんはやってくれるし、全然そこは問題ないんです」


こうした要望には、柔軟に応じてくれる農家も多かったですが、一方で「どの程度バラでいいのか?」という戸惑いも少なくなかったといいます。「消費者が見える店頭のプラごみを減らす努力の裏には、見えない農家の苦労もある。大切なのは、生産段階で出るごみも含めて、全体としてプラごみを見直すこと。そうした視点を持ちつつ、「個包装なし」のような選択肢が、他の小売店でも当たり前に選べる未来を目指せればと、鈴木さんはお話しくださいました。



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