イベントレポート:つなげよう、ごみを生まない『知恵』#6
- kurunkyoto
- 12 時間前
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「ごみを生まない新しい当たり前」を話してみる
イベントの最後は、参加者同士での「知恵のシェア」の時間を設けました。
3、4人の小グループに分かれた上で、テーマとして出されたのはこんな問い。
ごみを生まない「新しい当たり前」のために、どんな変化が必要か?
その中で、自分にできることは何か?
10分間という短い時間ながら、各グループでは「登壇者の話のどこが印象に残ったか」「自分の暮らしで取り入れられそうなことは?」など、さまざまな言葉が交わされました。
「マイ容器を使うことがもっと当たり前になったらいいのに」
「ゼロウェイストを“正しいこと”じゃなくて、“楽しい選択肢”として広めたい」
「やってみたら意外と楽だったり楽しかったりするから、最初のハードルを越えるのが大事な気がする」
ふだん、なかなか声にしない想いを、外に出してかたちにしていく。その過程で、みなさんの中にはさまざまな気づきがあったようです。ディスカッション後に行なった全体のシェアでは、いろんな角度からの意見が出ました。
企業との連携という視点
たとえば、「市民向けの啓発だけでなく、企業向けの教育や体験も必要では?」という提案。これについては、ポジティブな効果が多く挙げられました。
仕事の一環として取り組むと、興味がない人にも届く。
“好きだからやる”だけじゃなくて、“仕事だからやる”というので、アプローチできる層がいる。
なので、予想外に効果的に広がることもある。
また、以前のイベントでは、企業から研修に来た方にごみが出ない生活を体験してもらう、斗々屋さんの取り組みについても語られていました。これは、キッチン付きのアパートに一ヶ月住んで、斗々屋で買い物することで、ゼロウェイストな生活がどんなものか実感できるというもの。
それまで興味がなかった人にもゼロウェイスト生活の魅力を届けられるという意味では、企業を通したアプローチは、中々に効果的かもしれません。
マイ容器、どう使ってる?
続いて、「マイ容器をもっと当たり前にしたい」という意見を上げてくださった参加者の方は、「私はかごバッグを愛用していて、その中に小さな容器を入れてます」と話してくださいました。
「パン屋さんで全部のパンが袋に入ってるのが嫌で、“これに入れてください”って言い始めたのがきっかけでした」
イベントやマルシェに行くときもそのかごを持っていって、お願いすると、たいていのお店で喜んで対応してくれるんだとか。「でも持ち運ぶのって結構かさばるから、もっと折りたためたり、かわいくてコンパクトなものがあると嬉しいなって思ってます」と、日々のリアルな工夫とともに、小さな課題も教えてくれました。
その流れから、ほかの参加者からも「折りたたみできるカップ使ってます」「風呂敷も便利ですよね」と、日常の中のちょっとした工夫がどんどん共有されていきます。
「かわいい容器なら持ち歩きたくなるよね」
「洗いやすさも大事だと思う」
そんな小さな声に、ちょっとしたワクワクが広がる時間になりました。

「気にしすぎない」空気をつくる
さらに、「小さいことを気にしない世の中になったらいい」との声には、会場からも共感の声が。
手を上げた個人商店の方は、「スーパーで野菜をめっちゃ選別する人、いますよね(笑)。クレームを言う人の意見が強くなりすぎていて、それを避けるために、どうしても過剰包装になってしまうこともあるんです」と、日々店頭で感じることを率直に話してくださいました。
このお話には多くの人が頷きつつ、「手前取り(消費期限の近い商品を選ぶこと)」が少しずつ浸透してきた、という良い変化についても話題に上りました。
「全体としては、少しずつ意識は変わってきているのかもしれない」「傷のある野菜や食品ロスのことがもっと知られるようになれば、人の行動も変わっていくのかも」という意見からは、人々の意識や常識をどう変えていくか、前向きに悩む姿勢がうかがわれました。
ルールは常識を変えられるか?
クレーム対応の話を受けて、「お客さんのクレームを防ぐために、むしろ規制がある方が助かるってこともありますか?」との問いも出ました。これに対し、現場の実感としては「そういう部分もある」とのこと。
たとえば、レジ袋が有料化されて「あげなくてよくなったことはほんまにありがたいです。今はみんな袋を持ってくるし、なければそのへんにあるリユースの紙袋とかに適当に詰めて渡してるけど、それで文句を言う人はいないです」という声がリアルでした。
さらにその流れで、話はフランスでの規制の話題に及びます。

「例えば(フランスみたいに)、じゃがいもや玉ねぎは一年後からパックしちゃダメ、って決まったら嫌ですか?」との質問に、生鮮業に従事されている方のひとりからは「いや、大枠でそういう決まりになれば、やりやすくなります」との意見が。「もちろん、品質を保つためのノウハウは必要。でも、それを共有する場があればいいし、結局、消費者の基準も変わっていくと思います」と、現実的な見解が示されました。
そこからは「やっぱり法律じゃないと変えられない部分がある」という意見も。
「誰もが納得した、とはならないままにフランスは規制を進めているけど、それで文句を言う人はほとんどいないし、“それしかないよね”って感じで受け入れられてる。それくらいの潔さが、日本にも必要なんじゃないでしょうか」と、力強い言葉が印象的でした。
再利用しやすい容器のあり方
最後に出たのは、「どのメーカーも容器は共通の規格にして、ラベルだけ変えたら?」という提案。
この意見にも共感の声が多く、「昔はそうだったしね。ペットボトルのデザインをちょっと変えたりしても、誰もそこ見て買ってないやんって」と、小さな笑いが。「透明ペットボトルしか使わないっていう日本のルールが、実はリサイクルにはすごく良かったんです」という補足もありました。
「企業にとってもコスト削減になるのでは」「回収・再利用のインフラも整えやすくなるかも」と、さまざまなアイデアがふくらんでいきました。
限られた時間のなかではありましたが、多彩な意見が飛び出したトークセッション。一人ひとりの暮らしの中から出てきた実感と、社会を変えたいという思いが感じ取れる言葉たちが並びました。いきなりみんなが納得する正解を探そうとするのではなく、「今、何ができるか」「どこに小さな工夫の余地があるか」を持ち寄って、考える。そのプロセスがとても大切なのだと、改めて気づかされる時間でした。
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