イベントレポート:つなげよう、ごみを生まない『知恵』#2
- kurunkyoto
- 6月30日
- 読了時間: 4分
更新日:7月1日
デポジット容器でつなぐ、ごみのを生まない小売の「輪」
新しい取り組みを次々と打ち出す梅田さんが、特に意義を感じているものとして挙げてくれたのが、2024年3月から始めたデポジット容器の共有。京都に3店舗を構えるオーガニックスーパーHELPとパートナーシップを組み、お互いの店舗で利用するデポジット容器を、相互にやり取りできるようにしたのだそうです。
この仕組みでは、斗々屋で借りた容器をHELPに返しても、HELPで借りた容器を斗々屋で返してもOK。きちんと返金処理を受けることができます。一見地味な取り組みですが、こうしたことに地道に向き合っていくことが大切なのだと、梅田さんは言います。
「もっと京都市内で広がれば、デポジット容器の『なんとなく面倒くさそう』っていうイメージも変わってくると思いますし、他のお店も巻き込んで一緒にやっていけるんじゃないかな」と、期待を語りました。
企業を通したアプローチ

また、企業向けの取り組みとして紹介されたのは、「オフィスにどんな斗々屋?」というサービス。これは、企業の中で出るパッケージごみを減らすために、オフィスにパッケージゼロのお菓子を導入するというもの。福利厚生として提供することも、販売というかたちを取ることも可能なのだそう。
具体的には、月に数万円分のお菓子やスナックを、オフィスの一角に設置。それを社員が自由に持っていく、というもので、斗々屋のレジ前のお菓子コーナーが、そのままオフィスにあるようなイメージ。
もちろん社員さんたちは、突然お菓子がオフィスに届くと、「何これ?」と疑問を持ちます。なのでそれをフックに、「どうしてこんなパッケージフリーのお菓子を提供しているのか」ということを伝える社内セミナーを開催し、ごみ問題に関心の薄い層に理解を広めるきっかけとしても活用しているのだそうです。
「京都ではまだ広まってないんですけど、東京のほうでは特に外資系企業さんからの問い合わせが多くて」と梅田さんが語る裏側には、欧米と日本とのギャップがあるんだとか。アメリカなど、外資系企業の本社がある国ではすでに、企業内でも「ゼロウェイスト」や「プラスチックフリー」が当たり前になっている。そうすると、日本支社にも「そろそろ日本でもやってください」という圧力がかかる。そしてその結果として、斗々屋に相談がくるようになった、という流れが生まれるそうです。
さらに2025年からは、企業がこのサービスを取り入れることでどれだけごみが減ったかをモニタリングする「ごみの見える化」にも取り組む予定とのこと。今後の展開も楽しみですね。
忙しくてもプラフリー
企業向けの取り組みからもわかるように、斗々屋が「地球1個分のくらし」を届けたいと考えているのは、環境意識の高い人ばかりではありません。子育てで手一杯で、自分の体を思いやるゆとりのない人や、仕事で忙しくて、自然環境に気を配る余力のない人が、美味しさや便利さに惹かれて選んだ行動が、おのずと健康や環境のためになる。
そんな理想を形にしたもののひとつが「サステナ宅食」。これは、オンラインで注文できる冷凍弁で、パーケージにデポジット容器とバガス素材(サトウキビの搾りかす)を使うことでプラスチックフリーを実現しています。
ゼロウェイストの「輪」をつくる

様々なサービスを展開する斗々屋ですが、目指しているのは斗々屋だけが成長することではなく、日本中にゼロウェイストを可能にする選択肢が広がっていくことです。そしてそのために行っているのが、量り売りの商品を他のお店に提供する卸業と、ゼロウィストショップの立ち上げ支援、コンサルティング。
たとえば、個人事業主向けにはオンライン講座や現場研修、商品卸サポートを行っています。オンライン講座では、月商100〜200万円ほどの小規模で始められるゼロウェイストショップを、ゼロから学ぶことができるのだそう。さらに、実際に独立を目指す人向けには店内研修を行っています。1〜2日間、斗々屋のオープンからクローズまでの流れを実地で体験しながら、ビジネスプランを作り、開業までの具体的な準備がわかるようなサポートが受けられるのだとか。
こうした活動のなかで育まれたのが、斗々屋と契約しているお店や事業主さんの ネットワーク「ととフレ(斗々屋フレンズ)」。今では契約数は130件以上になっていて、その輪は全国に広がっているのだそうです。
それとは別に、企業向けにはより大きなゼロウェイストショップの立ち上げ支援やコンサルティングを継続して行なっており、関わった企業には社内ワークショップの提案も行なっています。「オフィスにどんな斗々屋?」の取り組みがそうだったように、「環境問題に関心の薄かった社員がゼロウェイストについて知るきっかけを作ったり、実際に体験できる場をつくっていくというのも、斗々屋の役割だと思っています」と、梅田さんはその大きなヴィジョンを語ってくれました。
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