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セミナーレポート:京都から、ごみを生まない「小売」を考える #1

2023年1月26日。

河原町御池のQUESTIONで会場をお借りして、くるん京都としてはじめてのセミナーを開催しました。

前日までの雪の影響もあり、当日、QUESTION前の歩道は凍ってコチコチツルツルの状態に……

しかしそんなお足元の悪い中、会場にはたくさんの方が来てくださいました。

それもそのはず。

今回のメインゲストにお招きしたのは、量り売りスーパーマーケットの開業で全国から熱い視線を集めている株式会社斗々屋(ととや)の代表、梅田温子(あつこ)さん。

梅田さんのお話には皆さん興味津々のご様子で、セミナー中も多くの方が熱心にメモをとっておられました。


今回は、そんなセミナーの様子を、全5回に分けてお届けいたします。


斗々屋(ととや)とは?

斗々屋とは、2017年に始業した量り売り事業。

現在は直営の量り売り店として、nue by Totoya 国分寺店と斗々屋京都本店を運営されるほか、量り売り店のスタートアップ支援や、卸事業、移動販売やポップアップ店舗の展開など、ごみを生まない小売を全国に広めるための様々な事業を展開されています。


「直営店を広げていくというよりは、ごみの出ないお店を作って、ビジネスモデルとして企業に広めていければ、という感覚で作っています」と梅田さん。


nue by Totoya 国分寺店

nue by Totoya 国分寺店は、15−20 坪のスペースで、月商 100-200 万、2、3 人で経営していけるイメージの収益モデル。

キッチンスペースなどの併設は難しいため、生鮮食品やお惣菜などのロスが出てしまうものはあえて扱わず、乾物や液体調味料、洗剤、エコフレンドリーな生活雑貨など、魅力的な商品を数多く揃えています。


斗々屋京都本店

一方、60 坪程度の広さがある斗々屋京都本店は、国分寺店でも扱っているような品々に加えて、生鮮食品、冷凍食品、味噌・豆腐・納豆、惣菜20品目など、まさに「スーパーマーケット」と呼ぶに相応しい品揃えになっています。


「斗々屋が目指しているのは、ごみを出さない生活を便利に、自然に、今の生活に馴染ませていくこと」と梅田さんがご紹介くださったのは、簡単便利なお買い物を支える、最新テクノロジーの数々。

容器に入れた商品がどれかを瞬時に秤に送信できるセンサーシステム(e.sense)や、容れ物の重さを記録し、秤に乗せただけで自動的に風袋が引かれる処理を可能とする IC チップ(RFID ラベル)、秤に置いただけでどの野菜か識別してくれる AI システム(青果用 AI 秤 SM6000)、購入量をリアルタイムで把握できる減算式の秤など、種々の最新機器は、計量機器のトップメーカーである寺岡精工とともに、日々改良を進めているものだそうです。


また、「手ぶらできた方でも気軽にお買い物ができるように」と取り入れられているのが、デポジット容器システム。

1 個 150 円のデポジット瓶は、蓋付きの綺麗な状態で返却すれば全額返金。

お惣菜の購入などに便利なお弁当箱サイズのステンレス容器も、会員登録をすれば借りることができます。


そんな斗々屋ではパッケージごみだけでなく、食品ロスを出さないための対策も取られています。

それが斗々屋の「三毛作」

  1. 食材が悪くなる前に、お惣菜にして販売

  2. ランチなどで、さらにいろいろなものに加工して提供

  3. 瓶詰め、レトルト食品などに加工し、販売

という 3 段階の対策で、すべての食材を最後まで無駄なく使い切ります。


そしてゼロ・ウェイストのための試みは当然、バックヤードにも及びます。

例えば仕入れは、繰り返し使える通袋や通箱などを活用し、「使い捨てない包装」で卸してもらえるように工夫。

それでも出たごみは都度計量、スタッフ間で共有し、「次はもっと減らそう」と励まし合っているとのこと。

実際に、その共有データの一部を見せていただくと、12 月 16 日から 29 日までにゴミを回収に出したのはたった 3 回。

そのうちプラごみは、前回出したのが 10 月 31 日……つまり 2 ヶ月前、という驚異的な少なさ。

これには会場の皆さんも驚きを隠せないご様子でした。


こうした斗々屋の取り組みは、理念に共感してくれる生産者の協力あってのもの。

そのため斗々屋のホームページでは、「生産者の皆様へ」と題するパンフレットを公開。

ごみを出さない運営について紹介するとともに、理想を同じくする生産者を募っています。


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※ 画像はTotoya.inc ご提供。無断転載はご遠慮ください。


筆者:むるま

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