さて、これまで見てきた日本の包装事情を、消費者や事業者は一体どう受け止めているのでしょうか? 今回イベント前に募集した事前アンケートでは、消費者からも事業者からも、「包装を減らしてほしい」「無包装を望む消費者が増えてほしい」という声が多く寄せられました。
とはいえもちろんこれは、今回のようなイベントに興味を持ってくれる「環境意識の高い人」の話。それでは、環境問題への関心が特段高いわけでもない、一般の方の意見はどうでしょうか?
2022年度、京都市資源循環推進課が京都市民1000人に対して行ったインターネット調査は、それを知るための参考になるデータのひとつです。
このアンケートの中で、「プラスチック問題の解決のために、どのような取り組みが必要だと思いますか。最大3つまで選択してください」という問いがありました。
そこでは、50.2%(最多)の人が、「過剰包装・個包装の削減」を、36.3%の人が「マイボトル・マイ容器が利用できる店舗の増加」を、26.8%の人が、「リユース容器・瓶に入った食品や日用消耗品の販売増加」を選択していました。つまり半分以上の人が、「過剰包装は問題である」と認識しているのです。
これに対して事業者からは「意味なく過剰包装しているものは意外と少ない」との声も出ました。もちろん、状況はお店によって違うでしょうが、包装資材のコストが極力減らしたいものであることは共通しています。それでも、例えば野菜だと、風に当たると萎れてしまうようなものは包装せざるを得ないという現状があるとのこと。
実際に、スーパーマーケットの店頭で実施された調査では、調査対象となった10品目トータルの裸売り率は17%。中でも、ほうれん草の裸売り率は0.7%という脅威的な低さでした。
しかし、一歩日本の外に出ると、葉物野菜も普通に裸で売られている光景に遭遇します。
一体、この違いはどこから生まれるのでしょう?
実際に葉物野菜を裸売りしている梅田さんの経験談を伺うと、斗々屋さんでもオープン当初は、葉物が萎びてしまうことがあったそう。しかし、そこで諦めず、一つひとつの野菜に適した対応の仕方を研究して、生き返らせるノウハウを作ったことが、今につながっているのだそうです。また、そうやって野菜と真剣に向き合う斗々屋さんだからこそ、野菜そのものの持つエネルギーの違いを感じることも度々だと言います。
「生産者さんによっては、2週間前の野菜がぴちぴちしていたりするんですよ」と梅田さん。オーガニックや自然栽培の、甘やかされていないお野菜の強さに助けられている部分もあるのだとか。
また、少しでも包装ごみを減らすためにと、2023年11月から、汁漏れ防止のレジでのポリ袋提供をやめたスーパーマーケットHELPの田中さんは、ネガティブな反応やクレームがほとんどなかったことを話してくださいました。「自分たちの中に、やらずに怖がっている部分もあるんだなというのを認識しました」
今後更に包装を減らしていくことについては、「むずかしさも感じているけれど、もう少し消費者とのコミュニケーションがうまくいけば、できることも増えるのではと思っています。いきなりすべてを変えるのは無理でも、今後もスモールスタートから考えて挑戦していきたいですね」と田中さん。これは、この日集まってくださった他の多くの店舗さんにも、共通する想いだったかもしれません。
筆者:むるま
コメント