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セミナーレポート: 京都から、ごみを生まない「小売」を考える #5

量り売りって経営的にどうなの?


佐藤(くるん京都):事前アンケートでは、「量り売りって経営的にどうなんでしょう?」という質問もたくさん来ています。手間もかかりそうだし、「そんなので本当に儲かるの?」という疑問を、多くの方が持っていると思うんですね。


赤塚(DONGURI):食料品店だと、定価で売り切れないことも考えて、野菜や他の食料品と合わせて、全体で 30% くらいの粗利付けがひとつの目安になると思っています。差し支えなければ、斗々屋さんのお値段設定のイメージを教えていただけますか。


梅田(斗々屋):小売のものは大体 40% 粗利です。野菜に関しては、オーガニックのものをできるだけ安く手に取っていただきたいというのがあって、粗利は 15−20% 程度に抑えているんです。ただ、例えばいろんな野菜を入れたミックスサラダにしてデポジット瓶に入れて販売すれば、粗利をあげることができる。それでいて他と比べても決して高くない。そんなふうにお惣菜に加工したり、ランチ提供することで、粗利を調整をしていますね。廃棄が一切ないこともあって、1年間の平均粗利は 40% を超えています。


橋本(ヘルプ):スーパーをやっていて、年間通して 40% というのは驚異的です。その上でなおかつ、包装代なども削減できていると思うと素晴らしいと思います。ヘルプでいうと、包装資材に 3 店舗で年間 1800 万円かかっているので、そこを半分にできるだけでも、もっとお客様にサービスとして還元できますし、従業員の働き方も変えていけるのかなと思いますし、そういうところも量り売りのメリットとして感じます。


佐藤:包装資材に1800万円というのは本当にびっくりです。経費という意味では、量り売りにすることで人の動きも違ってきますよね。斗々屋さんではスタッフはどのように動かれているんですか?


梅田:10 時に小売部門 2 名が出勤しまして、1 時間で 2 人で売り場を整えて、11時開店です。

ただ、最初にお店を開いたときは全くノウハウがない状態だったので、人件費は思いの外かかって、これを整えるのには結構苦労しました。お買い物のときも、みなさんどうやってお買い物をするのかわからない状態だったので、それを 2 名で接客するのは無理だったんですけど、今は接客なしでお買い物していただける常連さんも増えて、人件費も抑えられるようになってきました。


佐藤:期間をかければ、それくらいの人手で量り売りが可能な環境が実現するんですね。


梅田:そうですね。最初にご紹介した通り、セルフサービスの秤を使っているので、お客様が慣れるほど潤滑に回るようになっていまして、今は店頭に出ているのは 2、3 人です。

理想としては、人件費を売上高の 20−25% に抑えて、経費を 10% に抑えられたら、経常利益が 10% 残るので。そうしたら、企業として、すごく持続可能ないいビジネスモデルになるんじゃないか、そうすれば企業さんにも変わっていっていただけるんじゃないかと思って、そのへんは常に課題として念頭に置いてやっています。


赤塚:すごいことです。ドングリは家族経営だからまだやれてますけど、人を雇って、10% の経常利益を出すというのはすごいですね。


梅田:まだまだ波がありますけどね(笑)


赤塚:ちなみに、寺岡精工さんの秤のシステムはどれくらい(の費用)なんですか?


梅田:物によりますね。うちで運営実験をしていて、まだまだ販売していないものもあるので、物によって値段は違うと思います。


赤塚:ぜひ、小さなお店にも導入できるようなものも開発してほしいですね。量り売り事業への支援という意味で、国からの助成なども出ればいいなと思います。


梅田:実際に、リサイクルを後押しする寺岡精工さんの製品を、国からの助成で購入している例もあるので、環境のことに配慮した製品ということで認定されて、国からの支援で購入できるようになるといいですよね。


赤塚:期待してます。


佐藤:斗々屋さんの1時間・2人で開店準備をするというのは、スーパーの常識からして、どう思われますか?


橋本:ヘルプでは、8 時にスタッフが来て、10 時に開店しています。例えば青果の部門、袋に詰めたりする作業で 1 人あたり 30、40 分かかるので、そこがないのは大きいと思いますね。ただ、うちは魚をそのまま仕入れてうちで捌くというのにこだわっているので、そこは削減したくない。ただ包装を減らすことで、人が遅く出勤しても大丈夫、というふうに変えていけると思います。


斗々屋京都本店のキッシュランチ。美味しい具沢山キッシュは、食品ロス対策の優等生。

佐藤:ごみを出さない小売に変わっていくメリットとして、ごみの収集費用というものもあると思いますが。


梅田:最初は毎日来てくださる業者さんと契約していて、来られるたびに「ないです」って言ってたんです(笑)。ごみがあってもなくても同じように料金がかかる。でも収集費用って高いんですよね。その後、サステイナブルな活動をされているごみ業者さんと交渉して、今は、一回ごとにいくらというかたち、必要なときだけ来てもらうかたちで契約させていただいています。なので、ごみを減らせば減らすほど、回収経費を減らせています。

大体、プラごみは 2、3 ヶ月に 1 回、燃えるごみは 2、3 週間に 1 回来ていただく感じですね。


橋本:すごいですね。考えられないです。うちでは毎日来てもらって、定額でお支払いしています。ヘルプだったら、3日回収がなかったら困ってしまうと思います。


佐藤:(斗々屋のように)生ごみを農家さんに引き取っていただくというのは、割と早く手をつけられそうなことだなと思ったんですけど、どうですか?


梅田:量の問題がありますね。


佐藤:なるほど。斗々屋さんの生ごみは、どんなふうにコンポストにされているんですか?


梅田:1 週間に 1 回、蓋のしっかり閉まるバケツに 1、2 個、農家さんにお渡ししています。

京北の農家さんが、コンポスト板みたいなのを作ってくださって、そこでコンポストして作った土で、ハーブや野菜を育てていただいているって感じです。


佐藤:南山さんも、生ごみは結構出ますか?


楠本:そうですね。かなり出ます。多くはお肉の脂なんですけど、今月からは、卵の殻だけは農家さんに渡すようになりました。それ以外はまだできていないですね。


佐藤:そういうルートができると、色々変わってきそうですね。



……と、こんな様子で、他では中々聞けない突っ込んだ話も聞かせてくださったパネラーのみなさん。話はまだまだ尽きないご様子でしたが、残念ながらここでタイムオーバー。


会場のみなさんからいくつかの質問をいただいて、漁業についての話題、斗々屋さんのような取組をしていても出てくるごみはどんなものですか、などのやりとりがありました。



サーキュラー・エコノミーの環を広げよう


最後に締めの挨拶を振られた梅田さんが「どうですみなさん、斗々屋のような選択肢、要ります?」と遠慮がちに客席を伺うと、大きく頷く会場のみなさん。

それを受けて、「もしもこういう存在を嬉しいな、頑張ってほしいな、と思ってくださっている方がいらっしゃったら、みなさん小売の中でも、変えていけることがたくさんあると思うので」と言う梅田さんが例として語られたのは、斗々屋と南山とで始めているデポジット容器の共有についてでした。


「デポジットの返金システムがもっと整って、京都内で共同のデポジット容器が作れたら、みなさんもっとお買い物がしやすくなるのではないかと考えているんです」


そのための道筋として、「とにかく斗々屋に来てたくさんお買い物をして、うちを儲けさせてください(笑)。そうしたらみなさんも真似してくださるので」と笑いを取ると、利益が出るほど世界がよくなる、いい循環が広がるサーキュラー・エコノミーが広まっていくことへの期待を語られ、梅田さんは最後にこう締めくくりました。


「せっかくだから、京都で、小売りの中でできることを一緒に考えていけたらいいなと思いました」



さて。

会場のみなさんが、そしてこの記事を読んでくださった方が同じ思いを持ってくださったなら、くるん京都として、このセミナーは大成功です。

みなさん、いかがでしたか?


当日会場には、小売に携わる方だけではなく、生産・流通に関わる方や一般の消費者、学生さんなど、様々な方に足を運んでいただきました。

一人でも多くの方が、ここから日々の暮らしを変えるヒントを見つけてくださったなら、幸いです。

長大なレポート(全部合わせて約15,000字!)にお付き合いくださり、ありがとうございました。


最後に改めて、梅田さん、パネラーのみなさん、ご来場くださったみなさん、ありがとうございました。

運営から準備にわたってご協力くださったすべての方々にも、御礼申し上げます。


くるん京都の次のイベントを、どうぞお楽しみに!



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※ 画像は佐藤文絵氏ご提供。無断転載はご遠慮ください。


筆者:むるま

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