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地球沸騰化時代とごみ問題

連日、世界の平均気温が観測史上最高を記録し続けている今夏。

ワールドニュースではグテーレス国連事務総長の「地球沸騰時代」というワードが取り沙汰され、気候危機がいよいよ次のステージに進みつつあるのではとの懸念が叫ばれています。


世界の平均気温上昇を、産業革命前と比較して 2℃ より充分低い 1.5℃ に抑える努力を目指す「パリ協定」が合意に至ったのは、2015年。

現在、世界の平均気温は既に 1.2℃ 上昇しており、その影響は世界の至るところで見られています。



たとえば、近年日本でも激しさを増している豪雨などの災害。

気候変動に関連した災害の発生数は急速に増加しており、2010 年以降では年間およそ 2000 万人もの人々が災害によって家を失っているとのデータもあります。

サイクロンや洪水、山火事によって難民化する可能性は、2019 年時点で地震や火山の噴火による難民化よりも 7 倍も高く、紛争による難民化よりも 3 倍高くなっていたそうです。*1


そして、ここからさらに温暖化が進んだらどうなるのか?

IPCC(国連・気候変動に関する政府間パネル)の 2022 年の予測シナリオでは、気温上昇が 1.5℃ に抑えられた場合、


50 年に一度の凄まじい熱波は、8.6 倍に

10 年に一度の豪雨は、1.5 倍になると(いずれも19世紀後半に比較して)

また海面は、一番いいシナリオでも、今世紀末までに 0.5〜1m 上昇すると書かれています。*2

ちなみに海面が 1m 上昇した場合、日本では砂浜の 9 割以上が水没し、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌など、低地の大都市での浸水被害の危険性が懸念されます。



……うーん、書いていてどんどん背筋が寒くなってきました。

「環境問題対策なんてお金と時間がある人の道楽」とか、「ただの偽善」なんていう人がいますが、こうやって一つひとつデータを並べていくと、その言葉が決して当を得たものでないことがわかります。


そして、こういう大きな危機を目の当たりにするとつい感じてしまうのは、「自分が何かをしたところで現実は変わらないんじゃないか」という無力感。

くるん京都が勧めている「ごみを生まないお買い物」というコンセプトも、世界の危機を前にすると随分と牧歌的に感じられます。


しかしごみ問題は、地球環境や私たちの明日を守る上でも、決して無視できないテーマです。



JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)の資料によると、家庭から出る CO2 排出量のうち、ゴミ廃棄によるものが占める割合は 4.0%。

なーんだ、そんなに少ないんだ、と思うなかれ。

これは、「紙類・生ゴミ・木くずはカーボン・ニュートラル(排出される CO2 と吸収される CO2 が同じ量)だよね」という考えに基づいた推計にすぎません。

つまり、この4.0%はあくまでプラスチックなどの焼却で発生する CO2 を推計した数字であり、紙類・生ゴミなどの燃焼による CO2 排出量はカウントされていないということ。

しかし実際には、たとえば約 80% が水分といわれる生ごみは、燃焼するために 1t あたり灯油 55L 分の熱量を必要とするとされ、処理の過程においては決してカーボンニュートラルでないことがわかります。

(生ごみは乾かしてから捨てましょう、と言われるのは、こういった理由からです)

しかもこのグラフで「ごみ」が占める割合は、年々増加しているのです。


「だけどプラスチックの方は、リサイクルしてるから問題ないんじゃないの?」


ここまで読まれた中には、そう考える方もいらっしゃるかもしれません。

でも実は、日本の「プラスチック・リサイクル」の大部分を占めるのは「サーマル・リサイクル」。

回収されたプラスチックのうち6割は、なんと燃料として燃やされてしまうんです。*3


また、ほとんどのごみは、原料の輸送から、商品としての生産、運搬、ごみになってからの回収、すべての過程でエネルギーを消費しており、そこからの CO2 排出も無視できません。

世の中には、何かを生み出すため、守るためのエネルギー消費もたくさんあると思います。

けれどもごみのために、結局は捨ててしまうもののために、貴重なエネルギーを使って CO2 を排出して、自分たちの明日を損なってしまうのは、あまりにもったいないことではないでしょうか。


ごみは出して終わりではなく、回収されたその先で、巡り巡って私たちの生活に影響を及ぼしています。

自分たちの明日のために、使い捨てにあふれた現代の生活を、今日から見直してみませんか。


(むるま)


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